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●算数入試問題(県内私立)分析 2011&2012

以下の私立中学校(全て福岡県)の2011年度と2012年度の算数入試問題の分析です。
当たり障りがないのも面白くないかなと思い、主観たっぷりのくだけた口調で書いてます。
ご了承ください。読後、ご意見やご質問がある方はメールを頂ければ幸いです。

①上智福岡中学校(旧泰星中学校)
②筑紫女学園中学校
③福大大濠中学校
④西南学院中学校
⑤久留米附設中学校

主要校の今年の入試問題は、福岡県内は全教研(こちら)、関東関西は四谷大塚(こちら)
ホームページでご覧になれます。(四谷大塚の会員登録は簡単で無料です。)

①上智福岡中学校(旧泰星中学校)

【2011年度】
 今年から校名変更で注目してましたが、若干肩すかしの感があります。志願者数もそれほど増えておらず、入試問題の形式にも大きな変化は見られませんでした。本格的な動きは共学化される来年度入試からでしょうね。ただ、問題の難易度は上がっており、来年度以降は更に難化するかもです。この学校は国語が特徴的です。記述が非常に多くて難しいのですが、記述部分は難しすぎて逆にあまり差がつかないんじゃないかな〜と個人的には感じています。やはり差がつくのは算数ではないでしょうか。さてその算数ですが、例年通りオーソドックスな出題でした。大問は、速さ、平面図形・場合の数・歯車(反比例)・立体図形。“歯車”以外はいつものメンバー(毎年出題)です。歯車は思考力というより知識が問われる問題なので、個人的には残念でした。ここ数年はずっと“表の読みとり”の良問を出題してたのですが…。“いつものメンバー”の方ですが、“速さ”と“図形”の二大巨頭はどこの学校でも必ず出るのでいいとして、“場合の数”の出題率が高いことに注目です。書きだし(樹形図)を基本にして計算にも持っていけるような練習をしておく必要があります。ヒントは過去問にあります。今年の場合の数(さいころ)は一昨年の類題でした。速さと図形も過去問の流れをくむ出題が目立ちます。
速さなら旅人算(特に周回)、平面図形なら扇形、立体図形なら水面変化、意外なところでのつるかめ算の利用、などなど過去問に早めに取り組めば強化すべきポイントが見えてきます。
【2012年度】
 今年から共学化の同校。今年は志願者が急増しました。定員160名に対し716名。
2010年は同じ定員に対して349名でしたから、二年前の倍以上を集めたこととなります。
気になる入試問題ですが、形式は例年同様で、大問は“いつものメンバー”から“場合の数”が外れて“数表”と“割合”が加わる内容でした。大問6の“速さのつるかめ算”を筆頭に、過去問のリバイバルが相変わらず目立ちます。
算数の問題の難度は上がっていません。昨年よりも少し易しいくらいの内容でした。特徴的な問題も少なく、「今年から難関校の仲間入りだ!」といったような気負いは一切感じられませんでした。ただ、変に難しくしていないので、努力の成果を発揮しやすく、受験生に優しい入試問題だったと思います。
過去問を重視する姿勢も、「うちを第一志望にしている子(過去問をやりこんだ子)に来てほしい」というメッセージなのでしょう。総じて好感が持てる内容でした。来年は“場合の数”が出そうです。基礎力の充実を図り、過去問対策を万全に行いましょう。

②筑紫女学園中学校

【2011年度】
 市内の中学校では最も意欲的でオリジナリティのある出題をするので個人的に好きな学校です。
しかし「パターンを外して思考力を試そう」という狙いやこだわりが過ぎると、5年前のように受験者平均36.6点(もちろん100点満点中)という悲惨なことになります。受験者のレベルに合わせた“目新しいけど難しすぎない”問題を作成するという大変なミッション、さてさて今年はどうだったかな? 
前半はこだわりを押さえましたね。典型題を多く出して随分易しくしています。筑女と言えば、前半の小問集合の難しさが印象的でしたが、ここ数年で完全消滅してしまいました。 後半は頑張りました。
大問4のグラフを筆頭に、受験生にあまり馴染みのない題材を使いつつ、ポイントに気づけばあっさり解ける問題が並びました。ただ全体的に今回のミッション、出題者の努力は見えるけど物足りない…。ちょっとあっさり解ける問題が多すぎるし、ここ数年「一問くらい思いきりこだわらせてくれ!」とばかりに出題してきた最後の難問も今年は薄味。やっぱり適正な選抜を行うためには受験者平均が50点以上は欲しいんでしょうね。結果、この10年間で一番易しい内容だったと思います。今年の受験者平均(筑女HPにアップ予定)がどうなるかも気になるところです。さて対策ですが、応用問題を解くことよりも、単元ごとの基本問題を深〜く理解することに時間を使うのが有効だと思います。過去問の研究はもちろん大切ですが、かなりの難問(いわゆる捨て問)も含まれますので、全て理解しようと気負わないほうがいいでしょう。
【2012年度】
 まずは昨年の入試結果ですが、算数の受験者平均は68.7点で、予想通りここ10年で最も高い平均点でした。今年の入試問題も同様に易しめで、同じような平均点になることが予想されます。内容的にも昨年以上に薄味で、過去問と比べると面白みはありません。少し残念な気もしますが、受験生にとっては“面白み”などということより“対策のしやすさ”が何倍も大切でしょうから、その意味では良い内容だったと思います。
一昔前は受験者平均40点台の入試問題が普通だった同校ですが、この三年で完全にシフトチェンジを果たした印象があります。2009年以前の過去問に取り組む際は、やり直しをすべき問題を取捨選択した方がいいと思います。難問に振り回されずに、2010年以降の過去問レベルに照準を合わせて基礎力の充実を図りましょう。
出題分野に大きな偏りはありませんが、どの学校でも出題される「平面図形」と「速さ」はもちろん、「平面図形と速さを絡めた問題」(図形の平行移動・回転移動・点の移動など)について理解を深めておくとよいと思います。

③福大大濠中学校

【2011年度】
 今年はブレイクしましたね〜大濠。モダンな新校舎に共学化、イメージ一新で1000名を超える受験生を集めました。大濠の算数と言えば、骨のある問題が所狭しと並んでいて、解けない問題があっても構うことなくグイグイと突き進まないと到底最後まで辿りつかないハードなセットで、学校の“質実剛健”なイメージとぴったり重なるものでした。イメージ一新した今年、入試問題はどうなる? 個人的には大きな変化を期待していました。「入試問題は思考力を問う少数の良問で構成されるべき」と考える私からすれば、大濠の入試問題は詰め込み過ぎ。解いていても楽しさより苦しさを感じてしまいます。「女子も受けるんだから頼むよ〜」しかし期待は裏切られました。全体的に難問が減って易しくなったのはいいのですが、小問数が38問。他市内校の小問数が20〜25問ですから、38問は多すぎです。
うんざりします。来年以降、もっと楽しい入試問題になることを期待したいです。さて内容ですが、共
学化の影響でしょう、例年出題が非常に多かった図形の問題がグッと減ったのが一番の変化です。
最終大問は昨年に続きパズル系の問題でした。パズル系は最近のトレンドで、考える楽しさを感じられるため歓迎なのですが、この問題は…う〜ん、もう一歩。というのも、これは“パズルを取り入れた問題”というより、まんまパズル。しかも有名なパズル(ビルディング)なだけに、解いたことのある子が有利すぎる…。ちょっとひと工夫加えてほしかったな〜。最後に対策ですが、同じように問題数の多い入試問題を時間内に解いて、スピードと取捨選択の力を磨くことが非常に重要だと思われます。
【2012年度】
 形式に変化はありません。小問数37問。う〜ん…と思いましたが、実際に解いてみるとだいぶ(よい意味で)軽くなっていました。全体的に易しい問題が増えただけでなく、“複雑な計算を要する問題”と“読みとりに時間のかかる問題”が減ったことがスリムアップに繋がったようで、かつてのようなハードな印象はありません。同校の過去問で練習を積んでいた受験生にとっては取り組みやすかったものと思われます。
ただ、問題の質と量から見て、塾などで類題を数多く解いている子が圧倒的に有利なのは相変わらずです。大問5など、「知らないと難問」だけど「知ってるとあっさり」といった、受験算数の特別な知識があるかないかが鍵を握る問題が目立ちます。じっくり考える時間がないのもネックです。そこは個人的に残念なところです。天才型より秀才型、努力型の生徒がほしい、ということなのでしょうか。だいぶ取り組みやすくなったとは言え、受験生は準備に充分な時間が必要です。

④西南学院中学校

【2011年度】
 ここ数年、偏差値が上昇気味の西南ですが、志望校を偏差値だけで選ぶのは危険です。特に中学受験は、保護者が「子どもを最も成長させてくれそうな学校はどこか」という視点で、各中学校独自のカラーや特色についての情報収集を怠りなく行うべきだと思います。入試問題も学校を理解するうえで役に立つものの一つ。何校かの入試問題を並べて眺めてみれば、なんとなく学校の雰囲気が見えてくるものです。では算数の入試問題を見比べてみた場合は…。私が市内で一校を選ぶなら、ズバリ
西南を選びます。学校の評判は賛否両論あるようですが、算数の入試問題に限って言えば、知識より
思考力を重要視する姿勢が明確で、スマートさやセンスの良さが感じられる大変魅力的な学校です。
さて今年の問題ですが、例年より得点しやすかったと思います。私の中の名作、2006年や2010年に比べると面白みに欠ける内容でしたが、それでも随所に西南らしさが感じられるのはさすがです。例えば大問1の(7) 、深く考えずに鉛筆を動かし始めてしまうともう大変。点数に加えて時間までロスしてしまいます。ちょっとクールに全体を眺めてみると実は元の立方体と表面積は変わってないことが分かり、6×6×6で即終了。あまりにさりげないトラップ。ニクイですね。大問4も、工夫の如何によって所要時間に大きく差が出る一問。ただ答えを出せばいいというのではなく、常に工夫を考える姿勢が求められています。パターン演習を大量に繰り返すよりも、見慣れない問題に積極的に挑戦する方が対策としては効果的です。4科トータルでは差がつきにくく、ミスが勝負を分ける学校ですので、“最大限の注意力を発揮して問題に取り組む姿勢”を身につけることが非常に重要。沢山の問題を雑に解くよりも、扱う問題を絞って集中して解きましょう。そのぶん余った勉強時間は他科目の苦手分野対策に充てるとよいでしょう。
【2012年度】 
 例年通り小問数は20問。思考力重視の姿勢は健在で、微妙にパターンを外した興味深い問題で
構成されています。昨年より全体的に若干難しめです。ただし“取り組みやすい問題”と“そうでない
問題”の難度の差が大きいため、取るべき問題をミスなく取った生徒が合格するものと思われます。
今年は大問3・4・5と、手を動かしてしっかりと情報を整理することが必要な問題が目立ち、“最大限の注意力を発揮して問題に取り組む姿勢”が、ますます重要度を増している印象です。
また、今年はグラフが復活しました。この15年で、グラフの出題がなかったのは昨年のみです。
対策としては、“速さ”や“水面変化”の問題に数多く挑戦し(たとえそれが求められていなくても)必ず
グラフ化する習慣をつけるとよいでしょう。グラフの楽しさがわかってくれば、中学校からの勉強(関数)にも必ず役立つはずです。

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